乳がんってどんな病気?
乳がんは、乳管から多く発生する、乳房にできる悪性腫瘍のことを指します。女性がかかるがんの中でも最も患者数が多く、日本人女性のおよそ9人に1人が罹患するとされています。
乳房は体の表面近くにあるため、セルフチェックや検診によって早期発見されるケースが少なくありません。そのため、死亡率は比較的低く抑えられていますが、放置すれば乳腺外に広がり、転移する危険性もあります。
乳がんの原因・なりやすい人の特徴
乳がんの原因
乳がんの原因として、女性ホルモンの影響が大きいことが分かっています。例えば、女性ホルモンを含むピルの長期使用やホルモン補充療法は、リスクを高める要因とされています。
喫煙(受動喫煙含む)、肥満、過度な飲酒、家族歴などは乳がんの発症リスを高めます。加えて、妊娠・出産・授乳経験がない方や、初経・初産が遅い、閉経が早い方も、乳がんにかかる可能性が高くなる傾向があります。
乳がんになりやすい人の特徴
乳がんはすべての女性に発症の可能性がありますが、乳がんになりやすい人に共通する特徴や生活習慣があることが分かっています。
以下は、乳がんになりやすいとされる主な特徴です。
- 40代後半〜50代前半
- 家族に乳がん患者がいる
- 閉経後の肥満
- 脂肪分の多い食生活や運動不足
- タバコを吸う人
- 過度な飲酒
反対に、定期的に運動をしていたり、授乳をしたりといった行動が、リスクを下げると考えられています。
乳がんの症状と見つけ方
乳がんは初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかれにくいのが特徴です。しかし、以下のような兆候に注意することで、早期発見に繋がる可能性があります。
しこり(腫瘤)
乳がんのしこりは比較的硬く、動きがなく、痛みがないことが多いとされています。良性腫瘍などでもしこりは見られるため、違和感を覚えた場合は早めに受診しましょう。
乳房・乳頭の皮膚や形の異常
乳房の左右差、赤みやへこみ、乳頭や乳輪のただれなどがある場合、乳がんの可能性があります。また、湿疹やびらんが治らず続く場合や、潰瘍が見られる時は「パジェット病」などの乳がんも疑われます。
乳頭分泌物
妊娠・授乳期以外に乳頭から分泌物がある場合、特に血液が混ざっているような場合には注意が必要です。しこりがなく分泌だけが見られる「無腫瘤性乳がん」のケースも存在します。
乳がんの見つけ方
生理開始から1週間後は変化に気づきやすく、セルフチェックのタイミングとして最適です。
閉経している場合は、月に1回、セルフチェックをする日を決めておくと良いでしょう。
下記で、セルフチェックの手順を解説します。
見た目の変化を観察
乳房の大きさや乳頭の色味などの変化がないかをチェックします。両手を上げたり、様々な角度から見たりするようにしましょう。
乳房全体と脇の触診
手のひらで乳房を軽く圧迫したり、脇を触ったりして、しこりや腫れがないか確認しましょう。石鹸を付けて滑りを良くすると分かりやすいです。
部位別の細かいチェック
乳房を上部・中央・下部に分けて、部位ごとにチェックしましょう。異常を感じた部分には「の」の字を書くように指を動かし、詳しく調べていきます。
乳頭周辺のチェック
指を使って乳房を包み、乳頭に向かって絞るように指を滑らせながら分泌物やしこりの有無を確認しましょう。
セルフチェックは有効ですが、確実ではありません。症状がなくても、乳がん検診や自費診療による定期的な受診が重要です。
乳がんの検査方法|当院でできる検査
乳がんの早期発見のため、当院では以下の検査を実施しています。
- CT検査
- MRI検査
- マンモグラフィ検査
- 乳房超音波検査(エコー検査)
- 血液検査
それぞれの検査には特徴がありますので、上野会クリニック あべのBranchでは、患者様の状態やご希望に応じて適切な検査をご提案いたします。
大阪市の乳がん検診を受けられます
大阪市にお住まいの方は、市が実施する乳がん検診を当院でお受けいただけます。
超音波(エコー)検査
対象の方
大阪市内に住民票がある30歳~39歳の方(年度末までに30歳になる方も含まれます)
費用
1,000円
マンモグラフィ検査
対象の方
大阪市内に住民票がある40歳以上の方(年度末までに40歳になる方も含まれます)
受診間隔
2年に1回
費用
1,500円
自費での乳がん検診について
症状はないけれど検査をお受けになりたい方には、自費診療での検査をご用意しています。
検査項目 | 費用 |
---|---|
マンモグラフィ | ●●円 |
乳腺超音波(エコー)検査 | ●●円 |
マンモグラフィ+乳腺超音波検査 | ●●円 |
※表記価格はすべて税込みです
※初診料・再診料が別途かかります
※しこりや痛みなど気になる症状がある場合は、保険診療の対象となります
当院でできる乳がんの治療と当院の対応
乳がんの治療としては、手術・放射線・薬物による3つの方法が挙げられます。当院では、がんを完全に取り除ける場合は手術を第一に、その後に補助療法を行います。大きながんでありながら乳房を温存したい場合には、抗がん剤治療を行ってから次の治療に進みます。
手術
乳がんの手術には、腫瘍が小さい場合などに行う「乳房温存手術」と、乳房全体を切除する「乳房切除術」があります。近年は、皮膚や乳頭を残す方法も選択可能です。
放射線治療
手術後の放射線治療は、状況に応じて週5回、5~6週間かけて行われます。通常は25回照射されますが、1回あたりの線量を増やすことで回数を減らすことも可能です。
薬物療法
薬物療法には、抗がん剤(がん細胞の増殖抑制)、ホルモン療法剤(エストロゲンの働きを抑制)、分子標的治療薬(がん細胞の活動を抑制)があります。特に、抗がん剤の使用で起こる吐き気や下痢といった副作用には、緩和薬も用意されています。